知的財産の視点からジャズを俯瞰してみる②

の続きです。

さて、前回は著作権の基本保護範囲とその例外規定を説明した。これを考えると世界各地で行われているジャズのセッションは非常に怪しいことになりはしないか。

著作権の存続期間が70年であることは前回述べた通り。たまに50年と思われている方がいらっしゃいますが、法改正により現在は70年になっています。ご注意を。但し法改正された2018年末時点で既に50年を超え著作権切れになっている権利は、70年に延長されたとしても復活されないという原則があります。

さて、例として最も有名なジャズスタンダード『枯葉』を考えてみよう。世界を見渡すと1日たりともこの曲がジャズセッションで演奏されない日は無いといって良い程の定番曲だ。

作曲者はジョセフ・コズマ。1945年にバラードとして作曲された為、45年が権利の発生日である。同氏の没年は1969年。著作権の存続期間のカウントは死後翌年から始まるので、著作権の消滅は1970年+70年=2040年(正確には39年末)である。何とあと20年も足りない!

それでは若くして逝去したチャーリー・パーカーはどうだろうか。同氏の曲も『Now's The Time』『Confirmation』『Au Privave』『Ornithology』などセッションで取り上げられる頻度では『枯葉』に引けを取らない。

没年は1955年。彼の場合は50年経った2006年に著作権は消滅しているので問題がない。

つまり、2018年に法改正が為されたことにより、大体1968年までに著作権者が亡くなっているかがポイントになるのがお判りいただけるだろう。そうでなければ原則として、未だ著作権は消滅していないのだ。そしてその楽曲を個人練習などに使用するならともかく、業としてセッションホストが演奏する場合、非常にグレーな状態と言わざるを得ないのだ。

(飽くまでここで話していることは著作権者が権利を譲渡や放棄していない場合に限られます。公演や複製等の自由を保障する著作者財産権については他人に譲渡できるためです。チャーリー・パーカーが自身の曲の著作権をどう管理していたか迄は当方では未確認です。尚、作品の公表の自由や同一性保持を保障する著作者人格権は譲渡できません。)

(長くなったので続きます)


今後の演奏予定

12/29(土) 17:00頃~
鬼無庭園美術館

場所:香川県高松市鬼無町藤井180−9
高松市の鬼無庭園美術館の令和元年度高松市美しいまちづくり賞(建築物部門)受賞のお祝いという席で演奏させて戴くこととなりました。
入退場自由だそうなので是非お越し下さい。


1/11(土) 19:00~
瓦町Dining Turtlesセッション
場所:香川県高松市瓦町2-2-22
参加費:1,000円
フレンチレストラン「Turtles」さんでの月例セッションでホストを務めます。
初心者大歓迎のセッションなのでお気軽に遊びに来て下さいね!


2/23(日) 13:30開場 14:00開演

ポプシーズ結成25周年記念コンサート

場所:高松国分寺ホール
所属するビッグバンド「ポプシーズ」の25周年コンサートです。ゲストミュージシャンはトランぺッターの二井田ひとみさんです。チケットご入用の方はご一報下さい。


2/29(土) 18:00開場 19:00開演
BOP RENAISSANCE ライブ
場所:Jazz Live & School Nomad
   香川県高松市瓦町1丁目11−17 PART2 2F 
ミュージックチャージ:2000円 (学生1,500円)+1オーダー
50~60年代のストレートアヘッドなバップ期のジャズを愛するメンバーが集まり結成されたモダンジャズバンド。
今回はメンバーの大西由記さん(As)をフィーチャーして、チャーリー・パーカー直系のアルトサックスプレイヤー「ジャッキー・マクリーン」にトリビュートしたライブを行います。

この世は成り行き任せ~主にジャズに関する思考の残渣

香川県を中心に活動しているアマチュアトランぺッターが谷野穣がジャズに関してアレコレ書き散らします。

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