③の続きです。
本トピックの本丸、アドリブについて考えてみたいと思う。
ジャズにとってアドリブ(improvisation)が最重要要素の一つということについて異論を唱える人は少ないだろう。ジャズにおけるアドリブとは即興演奏と訳されるが、それは正解であって正解ではない。何故かというと真の意味で即興をしているプレイヤーはほぼ居ないから。ジャズプレイヤーの方には言うまでもないことだが、ジャズのアドリブを完全に頭真っ白の状態で一から構築している人は極めて稀と言っていい。プレイヤーはジャズの100年という歴史の中から先人たちのプレーをコピー(アドリブを模倣して分析する非常に一般的な練習方法。Transcribeともいう。)し、それを基に自身のアドリブを構築しているからだ。多分100人ジャズマンを連れてきて「Charlie ParkerのTranscriptionしたこと無い人いますか?」という質問に首肯する者はいないだろう。
念のため補足しておくと、アドリブ演奏の全てが過去のコピーから成り立っている訳では勿論ない。演奏の一部では、シュルレアリスム(自動書記)的に演奏する場合もあるだろう。それを突き詰めればフリージャズに分類される様な形式になるのだろうと思われる。
とにかく事実として、ジャズのプレイヤーは他人のアドリブを自身のアドリブの中で引用している場合が多いということだ。無断で。
さて、次に考えるべきは「アドリブは著作物か?」ということだ。結論から言うと私はそうだと思う。著作物は、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの、と定義されている。アドリブは「感情を創作的に表現した音楽」と見做されるのではないかと思うが、如何でしょうか。
長々とジャズと著作権について考えてきた。考えれば考える程にジャズという音楽は著作権上疚しい部分が山積している音楽と言わざるを得ない。……が、私は別に本トピックで「世のジャズプレイヤーは著作権侵害をしていてけしからんですよ」と言いたい訳では勿論ない。何故なら著作権法の目的は法文の中で「文化の発展に寄与することを目的とする」と明記されているからだ。②~④で延べてきたことを問題視して一体どんな文化の発展に寄与するというのか。逆に文化の発展を阻害するばかりだ。その辺りの話は次回述べたいと思う。知的財産とジャズに関する話も一応次回が最後です。
(長くなったので続きます)
今後の演奏予定
2/23(日) 13:30開場 14:00開演
ポプシーズ結成25周年記念コンサート
場所:高松国分寺ホール
所属するビッグバンド「ポプシーズ」の25周年コンサートです。ゲストミュージシャンはトランぺッターの二井田ひとみさんです。チケットご入用の方はご一報下さい。
2/29(土) 18:00開場 19:00開演
BOP RENAISSANCE ライブ
場所:Jazz Live & School Nomad
香川県高松市瓦町1丁目11−17 PART2 2F
ミュージックチャージ:2000円 (学生1,500円)+1オーダー
50~60年代のストレートアヘッドなバップ期のジャズを愛するメンバーが集まり結成されたモダンジャズバンド。
今回はメンバーの大西由記さん(As)をフィーチャーして、チャーリー・パーカー直系のアルトサックスプレイヤー「ジャッキー・マクリーン」にトリビュートしたライブを行います。
4月25日(土)
西珈琲骨 丸亀港Garage Bar OCEANS'11 Live
場所:香川県丸亀市港町307-8 藤澤倉庫
西珈琲骨として、丸亀港のGarage Bar OCEANS'11さんでのライブです。詳細が決まり次第更新します。
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