前回は釈迦の思想について極々簡単に紹介した。
次は仏教史上最強のお経と称される『般若心経』について考えたい。色即是空、空即是色というやつだ。このフレーズだけは誰でも聞いたことがあるだろう。但し、このフレーズだけが有名で中身を知らない方もいると思うので、ここで簡単にであるが説明してみたい。
「色即是空 空即是色」とはその字の通り「色は即ち空であり、空は即ち色である」ということだ。空は何となく分かり易い。実体がなく空っぽという意味だ。色とは五感で、つまり目で見たり手で触ったりできるもの、物体と考えていただいて差し支えない。
つまり明らかに矛盾している。「見て触れられる物体=実体がない」とは一体どういうことか。
この答えを知るには"空"という哲学体系を作り上げた人を紹介するのが手っ取り早い。『般若心経』が成立したのは紀元後400年頃と考えられているが、その約200年前に龍樹というインドの仏教徒がいた。ナーガールジュナという名前でも知られる。(単に漢字読みかサンスクリット読みかの違いである)
龍樹の空の哲学体系において重要なキーワードが"縁起"という言葉だ。縁起とは「全てはそれ単独で起こることは無い。あらゆる原因があり、結果が存ずる。ゆえに私は私ではなく、私と認識されている実体ではない。私という名称・概念・慣用である。ゆえに全ては実体がない(空である)」ということだ。
凄く分かり辛いので、私を例に出して説明してみよう。私をご存知の方は、例えばジャズライブの会場で私と出会うと「谷野がいるなぁ」と思うだろう。但し、そこに居るのは名称・概念・慣用のことであって、谷野という実体はない。「いや体全体を含めて谷野なんだろう」と思う人もいるかも知れないが、では私が髪の毛を一本引き抜いたとして、その一本の髪の毛は"谷野"なのだろうか。靴を脱いだとしてその靴は"谷野"なのだろうか。答えは勿論否である。
同じことが全てのものについて言える。例えばジャズライブの会場であるが、会場とは建物のことを指すのか、楽器がそろった状態を指すのか、では楽器自体はジャズライブの会場ではないのか、アンプや譜面台は無くても会場なのか、等々。単純に言葉というものは名称・概念・慣用を指すものであって、実体を言い表すことはできないのである。
これが「色即是空 空即是色」の意味である。全ての物体は実体がない。故に無我なのである。上記の様に、仏教の哲学体系というものは西洋の理性すなわち論理的思考によって組み上げられたものではないことがお判りいただけると思う。
ちなみに余談ではあるが、同じような考え方をいた人が中国の老子である。弟子(といってもかなり年代が離れているが)の荘子とともに、老荘思想として中国で受け継がれているが、彼の思想は非常に仏教、というかバラモン教から受け継がれる東洋哲学体系に近く大変面白い。
(長くなったので続きます)
今後の演奏予定
4/18(土) 19:00~
瓦町Dining Turtlesセッション
場所:香川県高松市瓦町2-2-22
参加費:1,000円
フレンチレストラン「Turtles」さんでの月例セッションでホストを務めます。
初心者大歓迎のセッションなのでお気軽に遊びに来て下さいね!
4月25日(土) 18:30開場 19:00開演
西珈琲骨 丸亀港Garage Bar OCEANS'11 Live
ミュージックチャージ:1,500円(ワンドリンク付き)
場所:香川県丸亀市港町307-8 藤澤倉庫
西珈琲骨として、丸亀港のGarage Bar OCEANS'11さんでのライブです。今回はピアノが入り6人(セクステット)編成でお届けします。
5月5日(祝)
Music Blue Fes
場所:高松駅前周辺
毎年開催されている高松駅前を中心とした音楽イベントですが、今年もポプシーズの一員として参加します。詳細は分かり次第更新します。
6/6(土) 18:00開場 19:00開演
BOP RENAISSANCE ライブ
場所:科学と音楽 アインシュタインのグァルネリ
香川県高松市丸亀町4-12 1階
ミュージックチャージ:2,000円 (学生1,500円)+1オーダー
50~60年代のストレートアヘッドなバップ期のジャズを愛するメンバーが集まり結成されたモダンジャズバンド。
今回は50~60年代数々の名盤にバイプレイヤーとして参加し、自身もJazztetなどのグループリーダーとして活躍した「アート・ファーマー」にトリビュートしたライブを行います。
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