最早説明は不要であるが大変な事態となっている。世界全体の死者数が10万人を超え、この日本でもその感染者数は増加の一途を辿っている。一部の人々にしか頑なに金を出さない日本政府の方針について言いたいことも多いがこの場では控えたい。その様な外出自粛が叫ばれる状況で家で時間を持て余している方も多々おられるだろう。そんな方に今回ある映画作品をお勧めしたい。それが『ゾンビ』(原題 Dawn of the Dead 1978年公開)だ。
日本ヘラルド 1978年
監督は現代ゾンビ映画の生みの親、ジョージ・A・ロメロである。彼の傑作(masterpiece)は多々あるが、その中でもひと際素晴らしい作品が本作『ゾンビ』であり、ゾンビ映画を語る上では避けて通れない記念碑的作品でもある。未見の方には最早教養という意味でもお勧めしたい一本だ。
少々、というかかなり血みどろ且つ内臓ズルズルのショック描写もあるが、それも本作が残酷な世界を描く上で必須な要素なので、そこも含めて楽しんでいただきたい。そもそも映画なんてテレビなんかじゃ観れないヤバイものを見せてナンボじゃないか。
さて、この映画をなぜ薦めたいかというと、本作は「世界が終わるとき人は何をしたいか」ということを描いている映画だからだ。勿論このコロナウイルス騒動はいつか終息を迎えるだろう。しかしこの現在世界に蔓延しているある種の閉塞感は、本作が描いている世界観に平時の際と比べて重なり(overlap)つつあることは、本作を観て頂けると実感できると思う。
本作はフィラデルフィアのあるビルにゾンビが溢れている地獄絵図から幕を開ける。既に死者が跋扈し、世界が終焉に近づいている現実が示唆される。素晴らしいオープニングシークエンスだ。そこから4人の男女がヘリコプターで街を脱出し、彼らは生活物質を求めて一つの巨大ショッピングモールに立ち寄る。ショッピングモール内のゾンビたちを一掃し、彼らがショッピングモール内でかりそめの楽園を築き上げ、そして崩壊に向かうというのが、本作の基本プロットだ。
撮影のロケ地になったことで世界で一番有名なショッピングモールになった”モンローヴィル・モール”
本作では何故舞台に巨大なショッピングモールが採用されたかは明確な理由がある。作中で「なぜゾンビたちはショッピングモールに集まってくるんだ?」という問いに対して、「本能(instinct)さ」と答えるシーンがある。ゾンビが生前の記憶・本能に従って行動しているという点は作中で何度も何度も繰り返し示される。これこそ本作の最も重要なテーマである。つまりゾンビは一般大衆自身が象徴されている存在なのだ。やることがないと取り敢えずショッピングモールに繰り出し、要らぬものを買い込み、意味のない満足感を得る。それは世界が滅び死者になっても変わらない。そんな存在は生きていても死んでいても何も変わらないじゃないか、今だって死んだも同然じゃないか、と。
本作で意味もなくショッピングモールを彷徨うゾンビたちは非常に不気味であると同時に、哀れみすら感じる存在だ。脳(つまり思考能力)を破壊されるまで「買い物」という行為しか残ってないのだから。(それと他者を喰うという、これも悲しい人間の側面だ)
Down of the Dead (1978)
あと為政者の傲慢さという要素もジョージ・A・ロメロ作品には欠かせない。本作の主人公である男女4人のうち、男性2人はSWAT(特殊部隊)の隊員であるのだが、オープニングでは死者に対して礼儀を尽くしていたのに、ショッピングモールで大量のゾンビを処理していくうちに、段々とゲーム感覚になりその行為に狂喜していく。繰り返して言うがゾンビは哀れな一般大衆の象徴なのだ。
個人的に現在の新型コロナウイルス騒動の様な事態は人々の心の本当の姿を丸裸にするなと実感した。密閉空間で過ごすことが危険だとわかりながらショッピングが辞められない人々、苦しんでいる世間の人々をまるで死人の様に無下に扱う政府。このような危機において、我々はどのように過ごすのが良いのか?そういうことをジョージ・A・ロメロは『ゾンビ』を通して人々に突き付けている気がしてならない。
今後の演奏予定
4/18(土) 19:00~瓦町Dining Turtlesセッション場所:香川県高松市瓦町2-2-22参加費:1,000円フレンチレストラン「Turtles」さんでの月例セッションでホストを務めます。初心者大歓迎のセッションなのでお気軽に遊びに来て下さいね!⇒新型コロナウイルスの影響により中止となりました。申し訳ございません。
4月25日(土) 18:30開場 19:00開演西珈琲骨 丸亀港Garage Bar OCEANS'11 Liveミュージックチャージ:1,500円(ワンドリンク付き)場所:香川県丸亀市港町307-8 藤澤倉庫西珈琲骨として、丸亀港のGarage Bar OCEANS'11さんでのライブです。今回はピアノが入り6人(セクステット)編成でお届けします。⇒新型コロナウイルスの影響により中止となりました。申し訳ございません。
5月5日(祝)Music Blue Fes場所:高松駅前周辺
毎年開催されている高松駅前を中心とした音楽イベントですが、今年もポプシーズの一員として参加します。詳細は分かり次第更新します。⇒新型コロナウイルスの影響により中止となりました。申し訳ございません。
6/6(土) 18:00開場 19:00開演
BOP RENAISSANCE ライブ
場所:科学と音楽 アインシュタインのグァルネリ
香川県高松市丸亀町4-12 1階
ミュージックチャージ:2,000円 (学生1,500円)+1オーダー
50~60年代のストレートアヘッドなバップ期のジャズを愛するメンバーが集まり結成されたモダンジャズバンド。
今回は50~60年代数々の名盤にバイプレイヤーとして参加し、自身もJazztetなどのグループリーダーとして活躍した「アート・ファーマー」にトリビュートしたライブを行います。
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